「誤魔化し計算」を駆使して、ようやく1級合格が見えてきました。
最後は『みとり暗算』です。
一番誤魔化しができないができなそうな種目ですが、ここまできたらこじ付けでもいいから解説させてくれー!
ということでいってみよー
誤魔化しちゃダメ!?
そろばんは技能を習得する過程で得られる様々な『気付きや発見』を通して学力の根幹を固めていく、そんな習い事です。
であれば尚更「誤魔化しなんてとんでもない!」と怒られそうですね。
でも、そろばんを習っている人たちには『心』があります。
機械のように、言われたことだけを黙々とやり続けることが正しいですか?
こういう言い方はズルいですね。
大人が正しいと信じている事を子どもたちに押し付けることは間々あることです。
だからこそ『妥協』と『逃げ道』を考えておいて、バランスを取る必要があるのではないでしょうか。
その1つの選択肢として、この「誤魔化し暗算」は『アリ』なんです。
信念を曲げるのではなく一瞬隠す
特に「暗算」は得意不得意がハッキリ分かれる技能です。それ以前の問題として物理的にそろばんの練習時間を取ることができない子もいます。
しかし、そうであればあるほど、『1級合格』という結果は、内容が示す(3×2桁、5÷3桁、3桁5口ができる)意味よりも大きな効果をもたらすと思いませんか?
我々指導者の中にはそろばんのことばかり考えてしまう『そろばんバカ』が多いので、頭の中では「こうしたい」「こうなってほしい」というエゴが大きくなりがちです。
例えば、3桁でおろせる能力を得るよりも、早く1級に合格することに価値があると生徒や保護者が思っている事実を無視する訳にはいきませんし、もしかすると指導者が考えているほど検定試験の価値は大きくないと疑ってみる必要があるかもしれません。
それでも、技能習得(努力)の程度を客観的にはかる意味では検定システムというのは最も優秀で、さらに『なんとなく1級』という要望は根強くある訳です。まずは自分のエゴを一瞬隠してもらって、子どもたちの心が挫けないように全力応援してあげようではありませんか。そんな提案の1つです。
攻略のヒント
正直、これだけ煽ってみてはみたものの、冒頭で言ってたようにみとり暗算って誤魔化し方法ってあまりないんですよね。
ポイントは『やりやすいところからやる』と『ちょびっとのテクニック』。
30点や40点だった子が60点くらい取れるようになると俄然やる気が出てきます。倍の点数を取らなくてはいけなかった状態から、あと数問で合格できる!という気持ちの変化は非常に大きいです。
前向きに気持ちで練習を続けることが出来るのであれば、後は静かに見守るだけ。
※内容の薄さを前置きで誤魔化しました(;’∀’)これもテクニック!?
やるべき12問
みとり暗算は5問毎に加算(たし算だけ)3問、加減算(たし算とひき算)2問が出題されます。
つまり、全20問中加算が12問されるんですね。
まずはこの「加算12問」からやるべきです。
これで60点分。あと2問で合格というラインまで辿り着けます。
分割計算推奨
みとり暗算の難しいところは全て3桁というところ。これは2桁7口ができる程度では全然足りません。10口、場合によっては15口程度の計算力が必要になります。
逆に言えば、3桁を同時に計算できる能力のある人は誤魔化す必要がないので、ここの趣旨とは外れるためスルー。
能力のギリギリで攻めている人は、分割計算を強く推奨します。
2桁ができるなら良し、場合によっては1桁でももちろんOKです。
分けて計算してダメだというルールはないですからね!
でも、分割計算って意外と難しいんですよ。1級でいきなり始めるよりも、もっと前で練習しておかないとなかなかスムーズにできないテクニックです。
暗算の段位で4桁、5桁に挑戦する人に3桁で分割する方法を教えても、ややこしいからって一括計算を選ぶ人も少なくないです(それでできちゃうから子どもたちの能力は恐ろしいですけどね…)。能力の高い人たちですら分割を嫌うくらいなので、どこかで「分割計算の免疫」を付けておかないと変に苦労する事態になりかねません。
例えば、アバカスサーキットのF1の1列目は2桁で一括計算、2列目は1桁分割、のように様々な方法で取り組むやり方もいいと思います。3列目は全珠連の暗算1級と同じ程度の問題なので、その子に合わせて指示してあげましょう。
引き算はちょいテクで回避
もちろんたし算だけできるようになっても合格できませんよね。あと数問の引き算を解かなくてはいけません。
1桁で分割するとして、ややこしいのは9番、14番、19番ですよね。
そう、『分けたら引けないじゃん!』が出てくるんです。
もちろんその場合は1つ多い桁から1借りて計算するんですが、こっちはギリギリでやっているんだからできればやりたくない。
ではどうすればいいか。方法は2つです。
①計算順序を変える
例えば14番。1 -5 +4 +6 -3 ですね。
これを、1 -5 の段階で『あっ、引けないじゃん、とばそっ』ってことで、
1 +4 +6 -3 最後に -5 と計算していきます。
借りて、返す、という作業を繰り返していると訳が分からなくなる人に推奨の方法です。
では9番はどうでしょうか。
1 -9 +6 +2 -3 ですね。-9を後にやってみましょう。
1 +6 +2 -3 -9 そう、やっぱり引けない(-_-;)
でも、最後に借りると計算がラクになる場合ってかなりあるんです。
この場合は10を借りた直後に10の位の計算に移るので忘れづらいのがメリット。
だから、やっぱり順番変更はアリだと思いますよ。
19番も同様ですね。
1秒~2秒、ただ見る
これも訓練次第、練習量次第なんですが、簡単な問題かどうかを見抜く。
難しい問題を選ぶくらいなら、数秒犠牲にして問題を選ぶってことです。
コツは、最初の引き算が上の数より大きいならやめる。
例えば2番。-4 の上は7。大きい。イケる!
例えば4番。-5 の上は6。大きい。イケる!
例えば7番。-1 の上は5と7。大きい。イケる!
例えば9番。-9 の上は1。小さい。やらないっ
例えば12番。 -7 の上は8。大きい。イケる!
例えば14番。 -5の上は1。小さい。やらないっ みたいな感じでしょうか。
あくまで、イケる!かも? なんですが、実際だいたいはイケちゃいますし、2・3問解ければOKというスタンスで臨んでいますので、このくらいの割り切りも必要です。
最後に
みとり暗算はテクニックよりも絶対的な物量が最も必要になる種目ではあるのですが、何かのきっかりを与えてあげることで、子どもたちのやる気に変化が起こるかもしれません。
ずーっと真横に進んでいるのならば、何某かの刺激を与えてみましょう。それで方向が下向きに行ってしまうかもしれません。その時はまた刺激を与えてあげる。どうやったら上向きになるのか。先生も生徒もトライ&エラーです。そして努力の矢印が上に向いたら放っておく。
何を言ってんねん、というツッコミは甘んじて受け入れます。
誤魔化しなんてするもんじゃない。でも間違った誤魔化しをする子もいます。
合わせて10になる数を探す子。筆算でがんばる子。カンニングテクニックを磨く子。
これまで紹介してきたやり方も50歩100歩、大して違いはないじゃないかって?
いいえ、違いますよ。私の頭の中では先に繋がっている。
要するに、10級から8級に飛び級できる子がいるように、2級から1級の間にも、1.9級~1.1級まで存在するんですよ。見えないけどね。
だから、1.9級~1.6級を飛び級して1.5級レベルにいきない挑戦する子もいれば、1.9級~1.1級を飛び級して1級レベルに挑戦する子もいる訳です。
今回は1.9級の部分かもしれませんが、切り捨てすれば1級。つまり大体1級。
満点の合格も、ギリギリの合格も、1級合格に違いはありません。
要は『その子によって柔軟に目標を定めてあげましょう』ってことです。
実はウチの生徒で1桁分割でも六段に合格しちゃった子がいます。
でもフラッシュは2級くらいが精いっぱい。
3桁一括の訓練をしたらできるようになったかもしれませんが、私はこれで正解だったと思います。私の技量では、あの子に3桁練習をやる気にさせられなかったと思うから。
ちなみに、1桁分割でも段位合格くらいなら楽勝です。
最後に1つだけ。
『あなたが子どもたちに身に付けさせたい能力は1桁を早く計算することなの?』
私の尊敬する先生に言われた言葉です。
「あ、1桁でいいならラクチンね。つまづいている子にはこれでいいや!」と安易に考えないように、この言葉を噛み締めた上で、ぜひ誤魔化し計算を使って救ってあげられる子を増やしてくださいな♪