100点とっても合格じゃない?
生徒が練習をしていって上達すれば、当然進級させますよね。ではどのタイミングで進級させますか?全珠連を例にすると150点満点中100点以上で合格です。100点を取れるようになったら進級させますか?では何回100点取ったら進級させるのですか?それとも検定試験に合格した時ですか?たまたま落ちてしまったら2ヶ月後に再挑戦するまで続けますか?
さぁ、どうしましょう。あなたが普段どうしているかも考えてみてください。
どちらが凄い?
ここで「4級15問を3分で計算するAさん」と「3級15問を10分で計算するBさん」、どちらが上手か勝負してもらいましょう。公平を期すため、両者が計算できる4級の問題で戦ってもらいます。私の予想ですが、3級を10分かかるBさんは4級の問題であっても7分くらいかかるでしょう。なぜなら全珠連の3級と4級は小数の有無だけで同じ桁数ですからね。さぁ簡単な問題です。もちろん答えは・・・
Bさんの勝ち!です。当たりましたか?
Aさんの方が計算スピードが速いのでたくさん解答できますが、点数は10点かもしれません。一方Bさんは3級を練習中なんです。つまり4級ができるようになったから3級を練習している訳で、4級を7分で100点取る力がある訳ですね。
正答率こそが正義
間違うことが当たり前になってしまっている生徒は注意が必要です。そもそもみとり算のような基本計算を平気で間違う子は早いうちに修正してあげましょう。下級の間は特に意識してあげてください。
制限時間を設けてしまうと急ぎすぎる子もいるので、終わるまでのタイムを計らせてみるのも1つの方法でしょう。ゆっくり弾かせるために「誰が10分に近いスピードで計算できるか競争」や「間違った問題数分の点数を引いて点数を出す」などの楽しい練習メニューを時折やってあげると効果的です。
競技大会に参加する生徒たちについても正答率は意識して取り組ませたいところです。どうしてもスピード重視になりがちですが、繰り返す量も半端ないので弾きが雑になった状態が定着してしまう恐れもあります。それにトップレベルはほとんどが満点勝負になるので「見直しなしでピタッと正答させる」という訓練をさせてください。
最初の質問の私の回答「できるようになったら進級させる」
進級させるタイミングは100点以上とった時です。そのままですね。回数は問題ではないでしょう。あえて「できる」のポイントを言えば、直しを1発で正解できるかどうかでしょうか。直し=少しゆっくり計算している、という状態ですから、ほんのちょっとだけ冷静にやれれば1人で解決できるわけです。指導は必要ありません。
指導が必要なくなったのであれば進級させて、もっと難しい問題に挑戦してもらいましょう。
先程の4級の生徒Aさん VS 3級の生徒Bさんで、もしAさんが勝ったとしても、やはり上手なのはと聞かれればBさんと答えます。Aさんは小数の計算も端数処理もできません。当然伝票もできなければ応用計算もできない。高い「計算スキル」をもっているのはBさんと言えるでしょう。2人を3級の問題で競わせれば勝負は分かり切っています。
低い級を早く計算できるようになるより、高い級を点数ギリギリでも合格できる子が偉い!ということです。この子のできる最大レベルの問題に取り組ませてあげましょう。極端に言えば、いきなり1級レベルの問題で練習してちょっとずつできることを励みにしてもいいのです(1問できたら10級、2問で9級、10問で1級ですね)。
検定試験は試合です
たぶん勝てるだろうと思った試合でも、相手が予想以上に強ければ負けることもあります。試合当日だけたまたま調子が悪かったり、疲れて集中できないこともあるでしょう。検定試験も一緒で、その日だけたまたまできないということもあるのです。
試合に敗れたからといって、練習のレベルを落としたり、再戦までの間に高い技術を身に付ける努力をしないのはナンセンスです。普段の授業では指導者がきちんと見極めてどんどん上に引き上げていきましょう。
大事な試合で勝つためには、常に自分よりもレベルの高い相手と勝負させることが肝心です。ほら、ドラゴンボールだって必ずちょうど良い強さのボスが出てくるじゃないですか。亀仙人のところで修行している時にフリーザは出てきません。タオーパイパイの次がピッコロ大魔王でその後ベジータです。順番に強い相手を与えてあげてください。