先生用

検定試験の意義

そろばんの先生の皆さん、生徒たちには検定試験を受けさせていますか?

そろばん学習者の皆さん、積極的に検定を受験していますか?

今回は検定試験をやる意義について改めて考えてみたいと思います。

考えるきっかけ

最近はコロナ対策として人数を制限して授業を行っている教室がほとんどだと思います。

ウチの教室でも全員週2コマに制限した上で、1コマ当たりの人数もかなり絞って通塾してもらっていますが、大きな問題点が生じています。

それは、練習時間が減ってしまったこと です。

そしてそれは、今後も続けざるをえない ということも問題を深刻化させています。

分かりきったことですが、一定量以上の練習をしなければ成果は出ません。しかし、元々家庭学習習慣のなかった人がコロナをきっかけに自宅練習をはじめることは予想以上にハードルが高く、何か解決策を考えなければいけません。

その解決策の1つとして、最も容易にできるものが検定試験なのです。

ゆっくりマイペースはやめた方がいい理由

「ゆっくり」「のびのびと」「楽しく」といえば聞こえはいいですが、あまりオススメはしません。

次回あたりに書こうを思いますが、『練習効率を最大化させるシンプルな方法』は早く上達させることに尽きます。かけ算は元になる数が大きければ大きいほど答えも大きくなるように、その人自身のパワーを上げておくことが最も合理的です。

同じ7分間の練習でも、4級練習者の計算量と9級の人の練習量はかけ算比較で6倍(1問あたり九九180回:九九30回)、みとり算比較で3倍(1問あたり35字:12字)の差があります。つまり級が違えばトレーニングしている負荷(情報処理速度)に数倍の差が出るということです。※日本計算技能連盟検定での比較

そもそも、ゆっくり上達するってかなりしんどい(; ̄д ̄)ハァ

理由① そろばんはできるようになると進級、つまり点数が良い期間は極わずかなのです。ということは「できない状態」=「苦しい時間」がほとんどだということ。

理由② ゆっくり練習するってことは反復するタイミングが遅れるってこと。つまり技術を習得するまでに要する時間も長くなるってことです。

理由③ 様々な理由でモチベーションが保てなくなる。例えばたくさんやっている人との差が大きくなったり、上達を感じられなかったり、褒めてもらえなかったり。

 

授業の出席に制限を設けてからこのままでは心配な子がたくさん出てきてしまって、じゃあどうするかっていえば、刺激を与えてあげる(検定・大会・コンクール等)ということの重要性を再認識してもらって上手に活用してもらう必要があると思っています。

検定という刺激

検定試験というのは『実施期間』が定められています。つまり、努力できる期間のリミットがあるということ。これはとても大きいです。

いつまでにどの程度の力をつけておかなくてはいけないか、というゴールが明確になるので、普段の授業や自宅練習の が変わります。

 

さらに良い点として『お金がかかる』ということも挙げられます。

こんな事を書くと怒れらそうですが、皆さんは図書館で借りた本よりも身銭をきって購入した本の方が役に立ったと感じていませんか?

そう、費用を伴うものには何某かのプレッシャーもついてくるわけです。

「元をとらないともったいない」という(無意識の)意識が、集中力や記憶力を高めてくれるのです。

子ども自身も検定試験はタダじゃないことを知っています(それも自分のお小遣いより遥かに多い金額!)。これが(親からの)無言のプレッシャーになり、落ちたらイヤだ!という気持ちにさせてくれるのです。『イヤだ!』の中には、「お金が無駄になる」というものもあれば、「くやしい・はずかしい・申し訳ない」という感情も含まれていることでしょう。

けれど、そのような刺激が弱い自分を奮い立たせてくれるのです。

すこぶる順調だ!という人は無理に検定というものを活用しなくても良いかもしれません。しかしそうではない場合は、積極的に活用することが現状を打破するきっかけになります。ぜひ前向きに検討してください。

ウチの教室ならではの悩み

ウチの教室では合格できる力があると判断したタイミングですぐに上の級に進級させています。できる子は検定という足踏みをさせずにどんどん上にあがっていきます。

つまり検定試験をやらないと、常にしんどい状態が続く 場合があるのです。

検定を申し込めば当然検定対策練習をすることになるので、本来やっていたハズだった級の1つ下のレベルに取り組みます。しかし期間も重要で、「自分はできるんだ」という確認ができ、自信を深める時間を作ることにも繋がります。

検定に合格しないと進級させない進め方もあるのでしょうが、成長速度を考えてどんどん上にあげる方針を取っているため、検定試験を受験しない子はどうしても負荷が大きくなってしまいがちです。保護者には下記の2つの「メリット」の違いを理解していただいた上で、上手にバランスをとってもらえればと思います。

 

検定を活用するメリット①:自分の力以上の成果を目指す『努力目標』という意味

検定を活用するメリット②:自分の力を確認する『自己理解』という意味

もし不合格だった場合の注意点

検定試験は常に1発勝負。様々な理由(お腹が痛かった、学校で嫌なことがあった、隣が気になった、たまたま調子が悪かった等々)で実力が発揮できなかったり、頑張っていても力が及ばない事もあるかと思います。

そんな時でもぜひ暖かい言葉をかけてあげてください。

『テストに向けていつもより頑張っていたじゃない。

お母さんはそれだけでうれしいわ。

でも次こそは合格しようね!』

 

ポイントは

①結果だけでなく過程を評価(テストに向けていつもより頑張っていた)

②一般論より自分の感想(お母さんは努力する姿をみれて喜んでいる)

③次のチャンスを与えてあげる(また挑戦してみようね)  でしょうか。

 

特に③の『失敗が成功に繋がる体験』というのは非常に重要だと感じています。検定に落ちる度に必ず再挑戦させなければいけないということではありませんが、時と場合によってとても大切な意味を持つ場合があるということを知っていてください。

検定とは

そろばんは習得するまでに長い年月が必要です。

その長期間に亘る挑戦を行っていく中で、子どもには『基準となる評価』が必要になりますし、検定システムは自分の努力を可視化するツールとして非常に優秀です。

がんばれる原動力は 満足感 です

合格して満足。

褒められて満足。

認められて満足。

子どもたちには 検定合格という栄養剤 を定期的に与えてあげて、どんどん成長してもらいましょう!