20世紀から21世紀へ
皆さんは21世紀に生まれました。そして私たち大人は20世紀に生まれました。
私をはじめ多くの大人たちは21世紀にたくさんの夢を抱いて生きてきました。
私たちの時代は部屋の壁には学校の教室と同じような時計が掛けてあり、コンポと呼ばれるCDを聞く大きな機械が置いてあるものでした。机の上には国語辞典・漢字辞典・英和辞典・和英辞典・古語辞典等の分厚い本が何冊も並んでいるのが普通で、威圧感のある机の上を少しでも楽しくしようとお気に入りの写真を飾ったりしましたし、当時はファミコンが流行っていて友達の家に大勢で集まって盛り上がっていたものです。友達と遊ぶ時も家の居間に唯一ある電話を使うことより、直接家に行くことがほとんどでした。
さて、時計、音楽、辞書、写真、ゲーム、電話、このキーワードで思いつくものはありますか?
そう、スマホです。これらは全てスマホでできること、そしてそれは機能の一部でしかないのです。当時スマホを見せられても、きっと手品かペテンだと信じなかったことでしょう。現代の技術は、当時の我々にとっては魔法の世界の話なのです。
そしてスマホの1つ1つの機能が大きな発明であり驚くべき技術ではありますが、ベースにあるものは何か分かりますか?
そう、それは皆さんが毎日行っていること・・・学校の勉強です。学んだことを発展させていくと、素敵な魔法が出来上がるのです。
未来をつくる
今あなたが、こうなったらいいな、あれをしてみたいな、これは実現しないかな、と思っていることは、学校の勉強の延長線上にあり、やらないということは素敵な未来を早くから諦めてしまうことと同じで、もったいないと感じてしまいます。
「なんで勉強するの?」そう聞かれても皆さんは大丈夫ですね!
良い大学にいくため?良い会社に入るため?違いますよね。
自分が考える「こうなったらいいな」を実現するために勉強してください。
最近は景気が良くなっているといわれているのに、あまり実感できずにいる人も多いと思います。それは使うよりも貯金する人が多く、皆が未来に対して不安があるからです。世界中で格差が広がり、紛争は起き続け、不祥事や悪いニュースばかりが流れてきます。そう、大人たちは未だに夢見た理想の21世紀を作れずにいるのです。
では誰がより良い世界を作るのか。そうです、新しい未来をつくることができるのは、あなたたちしかいません。
どんな未来が待っているのか
だから大人たちはあなたたちの手助けをしています。10年後、20年後に第一線に立ったあなたたちが自分の理想に向かって戦う武器を一緒に育てているのです。
では大人たちが一生懸命伸ばそうとしている皆さんの力とはどんなものでしょうか?黙々と作業を続けられる根性と体力?言われた事はミスなく従順に行う正確性と協調性?後で答えを書くので少し考えてみて下さい。
人工知能が発達し、我々の仕事の多くはロボットが代行してくれるようになるでしょう。実際、既に多くの仕事が機械によって自動化されています。車の組み立て、駅の改札、床の掃除、洋服や食品の製造、例をあげればキリがありません。それどころか3Dプリンタであらゆるものを作り出せる可能性がありますし、機械がお寿司も握れば将棋も指す時代です。個々の体力や正確性を高めるに越したことはないですが、人間が機械に勝つことはないでしょう。
そのうち、友達がペッパーくんでペットがアイボだと言う人が出てきても驚かないくらい早いスピードで世の中は変化しています。
もっと極端な未来を勝手に想像してみます。機械はどんどん小型化され、身に付ける、もしくは埋め込むようになります。スマホは耳に装着され、外国語は自動的に翻訳されます。「HeySiri 漢字 ばら」と言えば網膜に「薔薇」が浮かび上がり、ウィンクすれば目の前の景色が写真として記録される、そんな未来もいつかやってきます。
大人の出した答え。あなたの考えは?
だから暗記モノに取り組まなくていいよ、と言っているわけではありません。「読み・書き・そろばん」が重要なことに変わりはなく、時代と共に必要とされる能力が変わっていくだけなのです。海外の人と円滑なコミュニケーションを取りたければ英語は必須ですし、知識量が多ければ、生まれる発想も豊かになるでしょう。
では先程の問いの正解発表です。これから必要な力は、暗記する事よりも情報をいかに上手に扱うかであって、目的を果たすための最良のアプローチの仕方を考えることが求められる時代なのです。
具体的にいえば、学校というのは「学習指導要領」という大きな指針に沿って進められていきます。それが今の大人の出した答えです。
2020年からの新学習指導要領では『育成すべき3つの柱 ①「何を知っているか、何ができるか」 ②「知っていること・できることをどう使うか」 ③「どのように社会・世界と関わり、よりよい人生を送るか」 を総合的に育む。その1つの方法としてアクティブ・ラーニング(課題の発見・解決に向けた主体的・協働的な学び)が重要』と書かれています。
簡単に言えば、これからを「生きる力」をつけるための知識・知恵を大人が考える最良の方法で学んでもらおうということです。
あなたが思う「生きる力」というのはどんなものですか?そして、皆さんはその先にどんな未来を描きますか?その未来を描くための武器は手に入れましたか?
最後に
そろばんで培った計算力・忍耐力・想像力をはじめとする総合的な「脳力」はあなたに力を与えるでしょうし、これからも努力次第で戦うための武器は増えていきます。
教室を卒業する皆さん、来月から新しい生活を迎える皆さん、あなただけの武器を手に、自信を持って新しい生活のスタートを切ってください。
前へ、前へ、ひたすら前へ。がんばりましょう!