指導法

読上算の練習方法

アイデア次第で読上算はみんなでできる
 生徒がたくさんいたり実力差がありすぎると一緒に練習することは難しくなります。
 それでもやる意味があることは前回書いたつもりですが、今回は具体的な練習のヒントについて触れていきたいと思います。

「暗算で計算」

実力差がある場合の最も簡単な方法は、そろばん用の問題を暗算で解かせることです。

「3桁~4桁の問題を読み上げますので、~さんと~さんは暗算で計算してください」

恐らくほとんどの教室で日常的に見る景色なので新しい発見はないでしょうが、発想としては全てこのような考え方をしています。

 基本は下の生徒に合わせるけれども、如何にして上手な子にも練習になるような内容で読上算を行うのか、ということでやり方を考えています。

「加えて~円なり」

実力差があるけれど暗算でバランスが取れるほどのちょうど良い差ではない場合、2段階、もしくは3段階に分けて問題を読上げます。

「10級以下の人は1回目、7級まではの人は2回目、それ以上は3回目まで計算してください。 願いましては、12円なり、5円なり、83円では。・・・加えて、525円なり、803円なり、61円では。・・・加えて、4390円なり、39円なり、426円では」といった感じです。

答えは1回目が100円、2回目が1489円、6344円です。

もちろん同じ桁でやって、読み上げるスピードを変えてもいいでしょう。問題の選び方次第ではありますが、かなり広い範囲までの差をカバーすることができます。

 

「倍計算」

どれだけ実力差があったとしても、みんなでできる方法といえば、唯一これくらいではないでしょうか?それが「倍計算」です。

これは実にシンプルで、読み上げた倍の回数を足していく練習です。

「願いましては、2円なり、5円なり、8円では」という問題の場合は、「2+2+5+5+8+8」と計算します。もちろんこれでも簡単な場合は3倍、4倍と自分で決めて計算してもらいます。限度はありますが、大体の場合はこれで解決です。

「イメージそろばん」

イメージ暗算ならぬ「イメージそろばん」です。

これも簡単な方法で、そろばんで計算をするけれども手元を見ないで計算する、というものです。

ほとんど暗算ではありますが、高さや幅の正確な数図をイメージできていないと頭の中とそろばんの答えがチグハグになるおもしろさがあります。遊びになりすぎない程度の程良い練習効果もあるので、特別練習会の時などにオススメです。

「左手の練習」

読上算も上達するにつれ両手で計算するようになります。自分にとって簡単な読上問題は左手の練習問題として取り組んでもらうのに最適です。

まずは1口目の一番大きい桁だけ左手でおくようにして、次に一番大きい桁の繰り上がりだけを左手で担当するようにさせます。慣れてきたら徐々にその役割を拡大させていき、最終的には全部左手で計算させてしまいましょう。

実力差があるからこそ練習できるメニューというのもたくさんありますね。

「読む練習」

先生が読むのではなく生徒に読ませるのも良いでしょう。桁の把握やリズムの取り方が分かるようになりますし、何より度胸がつく気がします。それに子ども同士でやる読上算ってとっても楽しいんですよ。その時間は先生が見てまわることもできるので良い事尽くしです。

 

ワンニャン算

楽しませるのも読上算の役割です。そんな時はワンニャン算で決まりです。

ワンニャン算はいうのは勝手に私がつけた呼び名ですが、これは埼玉県のアメリカっぽい名前の教室の先生が講習会で教えてくれたものです。

「願いましては、1円なり、2円なり、ワン、6円なり、ワン、ワン、8円なり、ニャー、1円では」その答えは、18円と犬3匹と猫1匹です。(* ´艸`)クスクス

はい、これは最高です。他にも牛や羊、時には象や鶏など、鳴き声に特徴のある動物ならなんでもOKです。練習になるというより、コミュニケーションを取るという意味では最強ですね。

 (注意)慣れるまではかなり恥ずかしいので覚悟しておきましょう!

これの応用としては、途中のコメントも覚えさせるというのも面白いです。

「願いましては、1円なり、2円なり、そこ!静かにしなさい! 3えんでは」その答えは6円、と、そこ静かにしなさい、でした。という感じですね。

今日は天気がいいねぇ、あれ間違ったかな、ゴホゴホ、などとワザと入れて、「願いましては」から「では」までは全部覚えるんだよ、などどいっておくと楽しめます。

読上算の本・教材

古い本はしっかり作られていて良いのですが、途中までの計算がないので出題しにくいものが大半です。「日本計算技能連盟」から発売されている本がおススメです。全ての口数で答えが分かるようになっていますし、最近発売された読上暗算用の第2集には桁幅を増やすための導入問題が付録としてついています。

私は計算技能連盟の第1集・第2集に加え、金本先生の読上本の計3冊以外で必要に感じたことはありません。どれも比較的ボロボロになりやすい気もしますが、内容が良いので大切に使っていただければよいのではないでしょうか。

どうしても読む時間のとれない場合は「読上算名人になれ~る」という音声ペンを使った読上算の練習教材も吉見出版等で販売しています。個々の実力に合った練習ができる上に、イヤホンを使用できるので他の生徒の邪魔になりません。大変優れた教材なので一度試してみてください。

読上は意外に穴

全国大会はレベルが高いので除きますが、地方大会であれば読上算はまだまだチャンスがあると感じています。それだけ本気になって(時間を作って)取り組めない教室が多いということなのでしょうが、入賞を狙うなら意外に穴だったりします。

やり方によっては楽しい上に上手にもなるので、まだまだ研究する価値はある部分だと思います。ぜひ他にも楽しいやり方があれば私にも教えてください。

あまり取り組めていない教室はたまにでもいいのでやってみてくださいね。生徒の目の色が変わるかもしれませんよ。