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そろばんはスポーツだ!わり算の作問編

わり算の作問(4級の特殊例)
 今回はわり算4級(全珠連)の作問をしてみましょう。
 やり方は簡単です。以前書いたかけ算作問を参考に法と商を決めて、実=法*商と入れれば出来てしまいます。以上。
 そんな説明だけではおもしろくないですね。わざわざ書くには理由があります。それは私の昔の指導を振り返らなくてはいけません。
そろばんはスポーツだ!
 問題を解き続けることばかりが練習ではありません。そろばんはスポーツの要素が強いので、野球でいうランニング・キャッチボール・素振り・筋トレなどに当たるトレーニングをすると効果的です。
 また、紅白戦と練習試合も意味が違うので、そういったところも参考に授業内容を決定すると良いかもしれません。
 検定試験と同じ制限時間で計り続けることは試合だけをし続けることと同じです。果たしてそれだけで上手になるでしょうか?
私がやっていた進め方
 やっていた、過去形です。
今は計算技能連盟が行う検定システムが秀逸なのでそちらに合わせて変更してします。
 当時は日商のみとり算だけを鍛えまくって、一気に全珠連の4級程度まで引き上げていました。かけ算・わり算の練習はほとんどやりません。その間に「かけ算トレーニング」として4×3桁の練習のみを繰り返させて、それだけでも大半の生徒が出来るようになります。超効率重視の練習ですね。
 しかし検定試験は受験できません。当然ですね。みとり算しかやっていないんですから。さらに上達具合が分かりにくいので普通の教室にはオススメしません。
 真似をしてほしいのではなく、当時の状況説明として聞いてください。
 ここで問題になるのがわり算です。全珠連は÷3桁=3桁、÷2桁=4桁、÷4桁=2桁の問題が出題されます。もどし算、大もどし、9立商、全て一気に覚えなくてはいけません。さぁ、困った。どうしましょうか?
バッティングを鍛えたければまずはトスかティーで練習だ!
 ティーバッティングは近くから優しく投げてもらったボールをネットに向かって打ち込む練習で、トスバッティングは投げた人に対しワンバウンドで打ち返す練習です。優しい球を全力で打つか、実践に近い球を優しくミートするかの違いはありますが、課題を持って取り組むべき重要なトレーニングであることに違いはありません。
 これをわり算の計算に当てはめるとどうだろう。作問の発想はそんなところからはじまります。
ボールを真芯でとらえる訓練
 わり算の真芯はそのものスバリ答えです。114÷19=だとすると、9でも8でも7でもなく、「6」です。しかし通常の計算では9→8→7という過程を経て6という解答に至るので、真芯でとらえる練習問題を作りたいと思います。
完成形をみてみよう

こんな感じです。問題の右端に数字が書いてありますが、計算のヒントになる重要な部分です。ただ、たったこれだけの工夫で先生がいなくても生徒たちは自分1人で問題を解くことができる、魔法の数字です。
 これを作ってから、最大の壁であった4級のわり算を乗り越えることができるようになりました。私にとっては1つの発明です。
それぞれの教室のニーズに合わせて必要なものを必要な分だけ補えることが作問の良さですね!
数字の意味
 1番の問題は133,408÷176ですが、(頭数が一緒で次数は法の数字が大きいので)9立商の問題なので普通はそろばんに9をおきます。
 それでは次に右のヒントを見てみましょう。241と書いてありますが、2の意味は、最初の答えが「はじめにおいた答えより2つ小さくなるよ」と教えてくれている訳です。だから9から2をひいて7だと分かるのです。
 答えが分かったら、7×176をひいていきます。すると残った数は10,208ですね。すると2つめの答えも9立商で9とおくはずですが、ヒントが241なので、「2番目におく答えは4つ小さくしてね」という意味なので、9から4をひいて5に直します。
 そうしたら5×176をひいて、残りは1,408です。なんと最後も9立商ですね。ヒントをみると241なので、「3番目は1つ小さくする」となっているので9から1をひいて8にします。最後に8×176をひいておしまいです。
ウチは暗算重視なので確商(もどし算をしない)で指導しています。
まずはトレーニングと割り切って、わり算の計算方法に慣れさせることを最優先に。ここに十分時間を割きながらも、その間に「目でひく」=「確商を見つける」トレーニングも別で指導しておくことをオススメします。
 この241は3桁の答えになることも教えてくれていますし、指導に時間が取れない時は000のような簡単な問題を先にやっておくよう指示することもできます。地味に使い勝手が良いプリントで、かなり助けられました。
 もう一度言いますが、「はじめて出会うわり算が4級だったとしたらどうやってできるようにするのか」という極めて稀なケースでの作問です。
 それでも作問のヒントにはなると思いますので、次回は作り方を解説していきたいと思います。