そろばん先生日誌

暗算十段合格!! +Kくんの話

令和3年1月に行われた『(公社)全国珠算教育連盟検定試験』において、兄弟校のさとう珠算塾から暗算の最高段位である 十段 の合格者が出ました!!

暗算十段は、かけ算が2桁×2桁~4桁×4桁、わり算が4桁÷2桁~8桁÷4桁、みとり算が3桁5口~3桁5桁8口の各40問を3分で95%以上正解しなければいけません。

出題内容を言われても、あまりピンときませんね。

 

それでは、次の問題を2秒以内に解いてください。

67×34=

それでは、次の問題を5秒以内に解いてください。

614×807=

では、次の問題を10秒以内に解いてください。

8,435×5,769=

答えは、それぞれ2278、495498、48661515 です。

 

ざっくり、このぐらいの計算を瞬時に頭の中で処理できるのが暗算十段。

実際に目の当たりにすると、100mをコンマ1秒で争う陸上競技のような、一種の芸術性を感じさせてくれます。

 

よーいはじめの合図とともに始動する無駄のない繊細な所作。問題を見つめる真剣な眼差しとよどみなく書き進められるたくさんの数字。何千回・何万回も繰り返した動き。ただ計算しているだけなのに生まれる感動。それが十段でしょうか。

 

ここまでに至る本人の努力、ご家族の協力、仲間の存在、競い合ったライバル、そして常に近くで成長を続ける妹、練習方法を教えてくれた他教室の先生方、良質な問題を作ってくれた梁山泊先生、数えきれないほどの要因があっての十段ですが、本人が貫いた意志の強さこそが最大の理由であったように思います。

 

九段合格(小6)から2年半(今が中2)。中学進学時の仲間との別れや指導者の交代(私がエースを始めたせいです(-_-;))、文武+そろばんの両立ならぬ三立、コロナによる中断、いろんな困難がありましたが、結果としてすべてに打ち勝っての最高段位合格という栄誉を手にした訳です。

本当に「おめでとう!」そして「ありがとう!」

生徒からは教えるよりも教わる方が多いようです。自分の十段=目指す最高とはどんなものなのかを改めて考えさせられた瞬間でもありました。

 

先日はこの子とずっと一緒に練習してきた別の中2生の最後の練習を見守りました。

わり暗算だけなら余裕で十段。まぁ、普通に負けちゃいますよ。

スゴイうまいです。暗算は特にスゴイ。小5で市大会の読上暗算優勝。中1の時は県大会読上暗算で高校生・大人と同じ部門でも入賞。小6の時は県大会で満点というハイスコアをたたき出して団体優勝メンバーになりました。

県大会のみとり算の問題を解くのに、高速計算・だけど間違わない、を両立するためにハイブリット計算を生み出したのもこの子。当てやすい加算は暗算、間違いやすい加減算は珠算。1問毎に切り替わる暗算と珠算を面白く見ていた記憶は今も鮮明に覚えています。

でもこの子は同学年の選手5人の中で実力的には一番下だった。他の教室にいったらダントツで一番上ですよ、きっと。だからこそ、彼だけの苦しみというものがあって、それと戦い続けた7年9ヶ月でもあったように思います。

活躍する仲間に対して真っ先に拍手を贈る。常に自分も戦いながら仲間の応援もしてきた。心の純度は数値化できませんが、素晴らしい数値を示すことに疑いはありません。

正に私の指導歴でも黄金世代と言える子たちでした。

 

さて、そんな黄金世代も飛び越えてしまおうという勢いで育ってきている次の世代の子たちがいます。もちろん黄金世代のみんながいたからこんなに早く上手になっているのだとも思いますが、そんな風に見えない糸でつながっているのが教室なのかなとも思います。

最高のニュースとともに、これから、についてちょっと考えさせられた今日この頃ではありますが、次は「あの子」が最高のニュースを届けてくれるものと期待しています。

さぁ、今日も元気にがんばろう!!