そろばん

空気を入れすぎるとパンクする

入力過多になりすぎていませんか?
 私の周りのそろばんの先生はけっこう勉強している方が多いです。それこそ60になっても70になっても勉強、研究を続けているので頭が下がります。しかし、そのノウハウであったり情報はどこに活かされるのでしょうか?自分の教室の生徒ですか?素晴らしいものであればあるほど限定された対象のみに享受されるのはもったいないと思います。
 反対に若い人はどうでしょう。誰かに自分の考えをぶつけていますか?実践と修正を繰り返していますか?学ぶことばかりに一生懸命だと頭でっかちになってしまい、ただ悶々としてしまうでしょう。その時間がもったいないです。
 未熟を楯にして発言・発信しない理由を作ってしまうと、さらに上のステージを目指せないばかりか、自分の仕事をつまらなくする原因にもなります。
 そう、もったいないんです。もったいないことをやめるには、入力する以上に出力することです。若ければ若いほど、入ってきたものを膨らませる力があります。要するに柔軟なんです。それでも様々な情報を自分に入れ続けるとどうなるか、そう、パンクしますね。一部機能停止、脳死状態です。その状態すら気が付かないくらい細胞が死んでしまっています。
 メモをとってもいい、日記を書いてもいい、SNSでも友達とのおしゃべりでもいい、とにかく出力しましょう。情報を一方的に受け続ける最たるものがテレビです。娯楽を楽しむことについて否定はしませんが、大人になると止める人間がいなくなります。自制できないときは手放しましょう。
私は意志が弱いので寝室からテレビを撤去しました。そして今では居間にもありません。ギャグじゃないです。マジです。
そろばんは良いものだと気付かれないで死んでいく
 海外ではとてもそろばんの価値は高いです。あなたの街のそろばん教室は月謝がいくらですか?海外であれば月8回で1万を超えます。インターネットを介した月に数回の指導でもそのくらい。
 そろばんに対してそれだけの価値をつけているのです。ではなぜ日本で価値が低いのか。指導者が無能なのか、そもそもそろばんに高い価値がないのか、どう思いますか?
 関係者だから話を盛って話していると思ってもらってもいいですが、正直にいってそろばんは凄いんだと思います。昔は需要がめちゃくちゃあった→生徒がたくさんいたので単価を下げられた→月謝は物価上昇に伴い少しずつ上昇→そのペース以上に需要が減ってきた→生徒が減って月謝が上げられなくなる、というだけの話です。価値は落ちているどころか、出している成果は非常に大きなものとなっています。例をあげれば大会の入賞点数です。同じ問題なのに昔とは比較にならないほど高くなっており、高段位に合格する年齢も間違いなく下がっています。
 そろばん学習はとってもお得なんです。でも金額分の価値を見出せないと思われている。もったいない。
 児童数の減少は全国的な問題で、さらに指導者不足のためにそろばんについて正しく知ってもらえない状態が続いています。あと5年もしたら学習者は半減していることでしょう。それほど危機的な状況です。爆発的なエネルギーを持っている若者がそろばんに関わっていないことも原因でしょうが、古い組織がそのスピードを速めていることは間違いありません。
 さぁ、このまま死んでいくのをじっと見ていますか?ジタバタ悪あがきをしましょうよ。ねぇ、そこのエネルギーを貯めこんでいるあなた!
価値を認めてもらえない原因
 でもどうしたって練習時間は必要です。自宅練習なしの月に3、4回の1時間練習で成果を出せる(受け入れている)環境が勘違いを生んでいます。
 だったら月に5回いけばいいの?6回?7回?今の子どもたちは忙しいんだからそろばんだけに時間を使えない!・・・そう、だからダメなんです。
 詳しくは別で書きたいと思いますが、そろばんは段位合格までに「少なくとも」300時間は必要です。ざっくり週3時間で2年間、週6時間で1年間です。※これは別で説明します
 そろばんは少ない時間では技能を身に付けることはできません。それにゆっくりマイペースはとても苦しいものです。例えば、突然の大雨で傘など持っていない状態で、けっこう離れた建物まで行かなくてはいけない場合、ゆっくり歩いていきますか?それとも走っていきますか?そう、ちょっとしんどいけど走りますよね?服も濡れるしカバンの中の書類もダメになってしまう。スマホも防水だけど心配。だからダッシュ!
 ここで、平常心でゆっくり歩いても平気な人は極わずかでしょう。そう、服もカバンの中身もスマホも、ゆっくり歩くと不都合なことがたくさん起きるから大変なんです。だから短い時間で済ませた方がいいから走るというそんな状態に似ていると思います。
 そろばんは一気に短期間で走り抜けるのが正しい習い方です。段位になってはじめて雨の当たらない建物にたどり着きます。ここからはゆっくり歩くもよし、そのまま走り続けるのもよし、別な道に向かうのもよし、段位になった時が分岐点で、その手前(雨の中)で右往左往するとしんどいということだけ理解してください。
そろばんはたくさんの時間を必要とする習い事。一気に多くの時間を費やすと幸せになれるし、費やすだけの価値がある。しかしわずかな時間しか割けないならオススメできない。
だから発信(出力)だ!
 もっともっとそろばん関係者は必死になって発信するべきです。
そろばんのPRだけに留まらず、指導法や経営法についてなど、指導者の質を高める情報を出し続けなければ業界全体が死んでしまいます。
 たくさんの指導者の質が上がればより多くの子どもたちが幸せになれるし、世の中のためにもっとそろばんが貢献できるでしょう。そうしたらみんなが毎日もっと気分よく授業が行えるってもんです。
 誰も損しない。誰も損しないのに損をすると思ってる勘違い人がそろばん界にはたくさんいるんです。水は流れ続けるから綺麗なのであって、一カ所に留まればやがて濁り腐っていきます。
 門外不出の秘伝のスープは既に腐り始め、そろばん界を滅ぼす元凶になっているかもしれません。
 若い人にとっても他人事ではありません。情報も同じです。溜めるだけ溜め込んでも腐るだけ。どんどん外に出してあげましょう。入れて出して、また入れて出す。水を清らかに保つためには流れが必要です。意識して自分で流れを作りましょう。