私の地元では毎年1月にそろばんの大会が開催されます。
大会は参加すると楽しいし、燃えるし、勉強になる!でも悔しいし、悲しいし、泣きたくもなる!だけどすごく上手になる! それが大会。
そこそこの費用と時間が必要ですが、多くの人に体験してもらいたいイベントです。しかし自分とは関係ないと思っている方がほとんどかもしれませんので、今回は競技大会に参加する目安とそこまでの道のりについて書いていきます。
(今回は先生向けではなくて保護者向けの内容です)
市大会の入賞目安
私の地元の大会は小2以下の部から中学生の部まで全6部門に分かれて行われます。最初に参加するビギナー向け大会という位置付けであるため、前回大会優勝者、全珠連と日珠連の県大会や東北大会入賞者は参加できないという縛りがあるのが特徴です。
入賞者の所持級を全珠連検定でまとめると、
小2以下…4級、小3…3級、小4…2級、小5…1級、小6…二段 程度でしょうか。
学年によってはもう1段階上かもしれませんが、分かりやすくするためざっくりこんな感じです。
もちろんこれらの級に達していなくても十分入賞は可能ですし、検定試験とは出題内容が異なるため単純に比較できないことは明記しておきます。読上算などの種目別競技と呼ばれる競技会ならではの特殊な競技もありますし、大会によっては団体戦や暗算縛りの競技など様々な特徴がありますので、参加者はその時々で多様な練習を楽しみながら取り組んでいくことになります。
コツコツ派 VS チート級
上記のように、学年にもよりますがだいたい『3級程度になったら競技大会に挑戦!』というのが目安かなぁと思っています。
今回は3級を取得するまでの道のりを比較してみますので参考にしてください。
まず前提として、競技大会は同学年同士で競い合います。
つまり週1回教室に通う子と週6回で通っている子が戦う訳です。でもこれは反則ではありません!週1回で3級になるまでは長い期間を要したに違いありませんが、週6日通えば3級まではたった数カ月です。簡単に追いつかれ、追い越されていきます。
本番でどちらが勝つにせよ、どちらが楽しくてどちらが苦しいのかは想像できるのではないでしょうか。
週1回を1時間ずつやると、3級取得まで6年間
昔はそろばんを習ったら3級を取りましょう!と言われていました。履歴書の資格欄にも書けるし、そこそこの計算力もつく。でも昔の話です。3級がゴールではあまりに程度が低すぎます。
本当に1週間に1時間しかそろばんをやる時間が取れないのであれば、たぶんそろばんという習い事は断捨離対象、早いうちに切り捨てられる習い事だと思います。なぜならゆっくりでしか上達できないものは楽しくならないし満足感も得られないからです。
3級を取得するまでにかかる期間を週1日で6年間とすると、単純計算で週2日は3年間、週3日は2年間となります。
つまり自分よりも短い期間しかやっていない友達や後輩にどんどん追い抜かれていくことになるのです。
集中的に取り組むメリット
それでは逆の発想で勝負した子を例にしてみましょう。まずはそろばんをしっかりやろう!と週に3日を2時間ずつ練習した場合、3級まではおよそ1年間です。
2年間もやれば段位合格は十分に可能です。
しかしその頃には新しい事に興味を持っているかもしれません。そろばんを週1回に変更し、ゆっくり自分のペースで学習を進めていきながら新しい習い事をはじめたとしても、ほとんど抜かれることなく上位に居続けることができます。つまり、常に上手な子でいられるということですね。
市大会レベルであれば常に入賞を狙えることになりますし、いざとなればみんなと同じ程度に練習時間を増やせばいい訳ですから、他と比べて圧倒的に有利な立場と言えます。これはこの子の作戦勝ちです。
ゆっくり上達派は検定試験だけになる
ゆっくり上達派、つまり通う時間が少ない人は検定練習ばかりを行うことになります。検定試験は自分との勝負なので、できるようになったら今よりちょっと難しい問題、それができるようになったらもうちょっと難しい問題、という永遠ループに陥ります。
変化も乏しいので、「できるようになった!」「完璧にできて気持ちいい!」というような感覚を得られる機会も少ないので、モチベーションを保つのがかなり難しくなります。
一方たくさん練習している人たちは、通信競技の問題(基本的に全員一緒の問題で点数を比較する)で点数を伸ばしたり友達と比較したりチームを作ったり様々な方法で練習します。時には読上算をしたり、多めにフラッシュ暗算をやったり、長くやりすぎて疲れてきたらパズル的な問題で頭を鍛えたりもします。
上手になると挑戦できることも増えるので、コンテスト、コンクール、競技大会などの多様な問題に取り組んだり、週末の特別練習に参加したりもできるようになるので、飽きずに楽しみながらさらに上達できる環境が手に入ります。
ただしゆっくり上達派の人は時間的制約を受けないので、たくさんの習い事をやりたい人や遊ぶ時間を十分に確保したい人にとってはメリットがありますし、保護者も送り迎えの負担や宿題をやらせる手間(時には採点まで)、そして嫌々で行きたがらない(場合もある)我が子を送り出さなくてはいけないストレスなど、デメリットもたくさんあることと思います。
そろばんは習い事の1つでしかないし、生活の中ではほんの一部にしか過ぎない訳ですから、他よりも優先させる必要はないのかもしれません。
ただし、実際やっている子どもたちにとっては早く上達した方が楽しいし満足感が高いし、それを最も信頼する保護者に認めてもらえたらもの凄くうれしいのです。
ラクな方に流れやすい子どもたちをより良い方向へ導くのは大人の役目です。もしそろばんが他の大事なことの妨げになっているのであればやめさせることも必要でしょう。全部を求めるのは無理なので、保護者がどこに注力し何を我慢すべきかを判断してアドバイスしてあげなくてはいけません。
まとめ
そろばんで培う能力は一生ものです。長く続けましょう!というのも一理あります。
しかし、一気にやって一気に能力を身に付けたら、スパッとやめてしまってもいいものです。
運転免許を1年かけても1ヶ月で取ってしまっても大して違いがないように、大事なのはその後の実践であるのと一緒です。
実際に『受験のための計算力養成』のためだけに通う人も増えてきました。
そろばんで養われる能力としてよく言われるのが『集中力』や『忍耐力』ですが、はっきり言って他の習い事でも身に付きます。もっと言えば習い事である必要すらないのかもしれません。
要約すると、そろばんは早く上達して大会とかいろんなイベントに参加した方が100倍楽しいってことです!
次回はそんな未知な大会というものについて、今月行われる市大会を例に解説してみたいと思います。それでは次回20日にて。