そろばんの先生はやる事がいっぱい
自営業全般に言えることだと思いますが、なんでもやらないと仕事として成立しません。会社のように部署毎に仕事を振り分けることなどできないので、営業、広報、経理、事業、とにかくなんでも一通り覚えてこなさなくてはいけないのです。
簡単にその内容をまとめていきましょう。
営業・広報
教室をやるからには多くの人に知ってもらわないといけません。その中でメインとなる宣伝方法がチラシだと思います。チラシの作成も外注するほど経費をかけられないと思うので、自分で1から作ることになるでしょう。
情報を集め、伝えたいことを短くまとめる。構成を考えて、バランスを整え、何度も間違えがないか原稿を確認。折込なら数千枚、場合によっては数万枚を印刷し納品。1度だけでは効果が薄いので、また新しくチラシを印刷。もちろん同じ内容では芸がないので、一部又は全部を変えて原稿を作り直す。どのぐらいの規模で、どのくらいの費用をかけるかも考えなければならない。
チラシは別な活用法あります。(私はやったことはありませんが)小学校の近くでビラ配りをするのもいいでしょうし、近隣の飲食店や幼稚園等におかせてもらえないかを交渉したりもします。それに合わせてポスターも作成する必要があるでしょう。

その他にも、電柱広告、新聞広告、案内板、リスティングやソーシャルメディア等のインターネット広告など、宣伝方法も多岐に亘ります。最近ではYouTubeやTikTok等の動画投稿で宣伝する人も出た来ました。そのような様々な手段を自分自身で検討する必要があります。
そしてその一番大事なのがホームページの設置です。私はホームページビルダーというソフトを使って自分で作りましたが、簡易的なものであればjimdoなどの無料作成サービスを利用してすぐに作ることができます。
しかしながらホームページは多くの人が利用する教室の窓口です。できればお金をかけてプロに作成することも検討しましょう。時期によっては政府の補助金対象になる場合がありますので、通常の半額で制作してもらえるかもしれません。
経理
自営業は経理の知識も必要です。税理士に任せている人もいるでしょうが、会計作業全てを委託している人は少ないのではないでしょうか。
日々の会計処理だけでも大変です。勘定科目はなんだろう、これは経費になるのだろうか、レシートがないので出金伝票を切らないと、数字が合わないけどどこで間違えたんだ、などなど、月謝や支払いの管理だけでも大変なのに、やること(調べること)が最初のうちはとても多いと感じるでしょう。
もちろん確定申告、そして従業員がいるのであれば労働保険や36協定等の手続きも毎年行わなくてはいけません。
もちろん事業規模に見合った支出がなされているのかの確認も大事な仕事の1つです。

事業
そろばん教室の根幹はそろばんの指導です。
ここが疎かになってしまえば本末転倒、当然一番力を注がなくてはいけません。
毎日の授業準備はもちろん、1時間授業の質を高めること、生徒とコニュニケーションを取ること、言葉遣いや態度・姿勢などの指導者の資質向上に繋がる取り組み、そして新しい知識や情報を得るべく日々研究をし研鑽を重ねること、やるべきことはたくさんあるのです。
本を読み、人に会い、こうやって発信もしながら、やるべきことを粛々とこなします。

自由の中の不自由
そろばんの先生はいろいろなことをしなくてはいけません。
ラクに見えるかもしれませんが、どんな仕事も簡単なものなどないのです。
確かに自由はあります。ほとんどの事を自分で決めて自分でやるのです。
しかし、これまで述べてきたようにやることはたくさんあるので、その全てをプロとして一定の水準に保とうとすれば時間がいくらあっても足りなくなります。
塾講師として教壇に立つだけならばもう少しラクかもしれません。
けれど教室を新しくやっていこうと考えている人は、暫くの間はやるべきことに忙殺されて不自由になることを覚悟しましょう。

さらに言えば「教育」というサービスについては努力に終わりはありません。対象が「人」なので、常に学び、改善していく必要があります。
でも「自由の中の不自由」は苦痛ではありません。
働き方改革などと言われていますが、自営業者に労働基準法は適応されませんから。自由意志で長時間労働を強いることもあれば何もしない日もある。最高ですね。

そろばんの先生って職業、なかなかおもしろいですよ。