運営

そろばん運営3 ~場所選び~

どこでやるのか
 テキストもそろばんも揃えたら、後は教室になる場所を確保しなくてはいけません。
いや、むしろ逆ですね。まずはここからスタートです。
 もし自宅があるなら、1室を教室にしてしまいましょう。そろばん教室をやる上での一番の出費は人件費と家賃です。自分でやるのであればしばらく人件費0円は担保できますから、家賃をいかに抑えるかは重要な課題です。
 低コストで始める方がリスクがありませんし修正もしやすいです。商売をやるのであれば、早期に黒字化することが必要ですので(そうでなければ飢え死にしてしまいます!)、どうやったら利益を上げられるのかが第1条件になるでしょう。
 人数が増えて収容が難しい見込みになってから、近くの集会所等の公共施設、さらに教室が大きくなってきたらテナントを視野に入れていけば良いでしょう。私もテナントを借りていますが、最初の半年はたった2人でした。敷金や礼金、黒字化するまでの家賃、机やイスなどの備品代、チラシ等の宣伝を含め、簡単に数百万が飛んでいきます。よほどお金に余裕がある人を除き、見込み客を一定数確保できる段階を経てから勝負に出た方が賢いと思います。挑戦することと無謀であることは大きな違いがあります。私の場合は計画が不十分で無謀なやり方でした。
基本は自由競争
 そろばん界にもテリトリーというか、縄張りがあります。連盟に入っていると「うちの教室はここの小学校をメインをしているからその近辺には出さないように」という暗黙の了解があったりするのです。下手に教室を出してから連盟に加入しようとすると、縄張りを荒らされた人が(勘違いも甚だしいですが…)騒いで、入会を断るなんてことがあったりします。
 厳密にはそれを理由に入会を断ることはできませんし、そんな連盟(支部)には属さなくて良いでしょう。前にも書きましたが連盟に入らなくても検定試験は受験できますし、様々な大会にも参加できます(検定試験の~級以上という制限がある場合があります)。ウチでは今年になって初めて自塾主催の大会を行いましたが、連盟に頼らなくても十分だという感触を得ることができました。
 やりたいことは数人の仲間と動けば実現できる時代です。それに私がオススメした日本計算技能連盟には縄張りなどという古い慣習は存在しません。名の通った権威にしがみつくより、新しい扉を開く選択肢も検討してください。
 尚、補足になりますが、古くからある連盟に加入することを否定している訳ではありません。多くの交流がたくさんの学びをもたらしてくれるでしょうし、自分で解決できないことも手助けしてくれたりしますので、これからそろばん教室をはじめる人は組織が大きい方が(地元に加入者が多い方が)安心です。まずは問い合わせをしてみましょう。
集会所・コミュニティセンター・貸会議室・シェア店舗・雇われ店長
 自宅では難しい人は集会所が最有力になるでしょう。敷金や礼金もなく、駐車場も無料。トイレが複数あったり、机などの備品もそろっている。借りられたらラッキーですね。ただし、机を並べてイスを並べてパソコンを設置して、帰りはもちろん逆の手順で片付けて、当然掃除やゴミの持ち帰り等もしなくてはいけません。1年を通してみると相当な時間を費やしていることになります。さらに地域によって貸出料も変わるので、意外な出費になる場合があります。
 私が借りている集会所では1日を午前・午後・夜間と分けており、各2500円(冬期は3000円)となっています。そろばん教室は午後の3時か4時あたりから使いはじめるので、どうしても午後・夜間の両方を借りなくてはいけません。週2日やると4万~5万くらいは必要で、ウチでは土の午前も借りているので5万~6万程度かかるわけです。それでもテナントよりだいぶ安いですが、元手が全くいらないわけではないので注意してください。
 コニュミティ・センターも場所によっては貸し出してくれるところもあるようです。ただし、営利団体には利用させないのが基本なので、地域はかなり限られると思います。
 それでももし借りられるとしたら、格安で利用できることになります。恐らく週2日やっても1ヶ月2万~3万というところでしょうか。場所によっては1万をきるところもあるようです。聞くだけ聞いてみるといいのではないでしょうか。
 他には駅前のような好立地なところでも貸会議室というのが存在します。定期的に(たとえば毎週火曜日等)借りられる保証はありませんが、会員制の愛好会というような形であれば十分運営できると思います。
 またはテナントを他の企業とシェアして利用するのも1つでしょう。そろばん教室も毎日開ける人は稀です。習字、英語、プログラミング、学習塾、他にも週に1日~数日やることがサイクルになっている習い事はたくさんあります。ただし、自分で借りたテナントを勝手に他人に貸し出す、いわゆる又貸しをしてしまうと賃貸借契約を解除されてしまいますので注意しましょう。
 また、最近ではオーナーに雇われてそろばん教室を運営している人も出てきているようです。地方ではあまり聞きませんが、都心部ではこれから増えてきそうですね。社員とは雇用形態が違うようですし、新しい事業のやり方として注目です。
場所選びは時間をかけよう
 どこでやるにせよ、近くの小学校の在籍者数を調べたり、近隣にそろばん教室や競合しそうな習い事があればHPくらいは覗いておきましょう。テナントなども良い条件の場所があるかどうかはタイミングによるので、定期的に調べる必要があります。近くの不動産屋さんと仲良くなっておけばいいですね。情報は鮮度が大事です。いつでも動けるように準備だけはしておきましょう。