検定試験

そろばんの検定試験

珠算検定を実施している主な連盟は3つ
 そろばんの検定試験といっても1つだけではないことをご存知でしょうか?
 「僕はそろばんの1級をとったぞ!」と自慢しても、実は違う検定試験の2級よりも簡単だった、なんてことがあるかもしれません。
 今回は簡単に検定試験内容についてまとめておきたいと思います。
日本珠算連盟
 商工会議所が主催、または後援する検定試験です。
 昭和28年発足。会員は全国4,000名以上。
かけ算において、かけられる数を実、かける数を法と呼ぶ。52×6=のような問題の場合は実(52)が2桁、法(6)が1桁、実法合わせて3桁、と表す
わり算において、わられる数を実、わる数を法、その答えを商と呼ぶ。186÷2=93のような計算の場合は法(2)が1桁、商(93)が2桁、法商合わせて3桁、と表す
 
 1級から6級までが日商検定試験と呼ばれる日本商工会議所が主催する検定試験、段位・準級・7級以下の検定試験が日本珠算連盟主催・日本商工会議所後援と分けられていますが、あまり気にする必要はないでしょう。
 かけ算、わり算、みとり算を一気に計時するのが特徴です。
 平成14年に伝票算は廃止されました(段位は平成15年に廃止)。
全国珠算学校連盟
 昭和37年発足、昭和43年社団法人、平成25年公益社団法人認可。
 年間の受験者総数は平成29年度実績で約10万8千人。
 
 全珠学連が主催する全国珠算技能検定試験は、合計点数で合否が決定する点は日珠連検定と同じですが、級位に関しては最下点が50点(50点未満の種目がある場合は不合格)と定められているのが特徴です。また3級以上は試験種目に伝票算も加わります。日珠連と全珠連の中間といった印象でしょうか。
全国珠算教育連盟
 昭和28年発足。昭和31年社団法人、平成25年公益社団法人認可。
 全国52支部所属の会員によって運営。
 
 制限時間が7分と短いことと、正答率が他と比べて若干下がるものの、全ての種目が基準に達していないと合格になりません。3級以上は伝票算・暗算・応用計算、また段位検定試験では開法が検定種目に加わります。11級以下の初級検定試験、準級が6級から設定されているなどスモールステップになっていることも他にない特徴です。
どの検定試験を受験するべきか
 基本的に上記の検定試験は誰でも受験可能です。好きな検定を受験しましょう。
 通っているそろばん教室の先生が会員になっていると、何級までは教室内で受験できる、というメリットはありますが、それだけのことです。
 ただし若干検定内容に違いがあります。自分が受験したい検定の種類に合った問題で練習してください。
 それではどの検定試験が良いかというと、どれも一長一短です。などど言ってしまっては面白くありませんね。
 そろばん教室に通っているのであれば先生の勧める検定を受験すれば良いと思いますが、あなたが自分自身でやるのであれば日商検定をオススメします。純粋にそろばんを弾く力が付きますし、そろばんの元祖である日商検定は多くの人に支持されています。
 全珠連のみとり算のように桁に幅がある問題は後からでも良いと思いますし、口数(1問毎の行数)が長くて同桁の問題は弾き込むことに適しています。全珠学連もほとんど内容は変わらないようなので、そちらでも良いでしょう。
 とは言いつつ、私自身は全珠連のみに加盟しています。理由はそのうち・・・
もう資格としての価値はない
 そろばんを通して様々な能力を身に付けるというプロセスはどの試験をやろうと変わりありませんし、何級取ったのかということよりも、何を身に付けたのか、ということの方が重要です。それに私自身はそろばんの検定試験の合格証書にたいして意味はないと思っています。
「部活が大変だったけど、コツコツ積み上げてようやくここまできたんだ!」「楽しくていつも長く練習してた。そしたらみんなよりも凄くなっちゃった!」「数学の成績が良いのは、やっぱりこれのおかげだな」「いやー、嫌で嫌で仕方なかったなぁ。でも1級とるまでやめられなかったから、最後は本気出した!」
 なんでもいいので、熱く語れるようになってください。想いがなければ、ただの紙切れです。
 合格証書はあなたの努力の証明書。それを見て、これまでの苦しみや葛藤を思い出してください。そしてそれを乗り越えてきた事実を自信にして、次の一歩を踏み出すガソリンにしましょう。
 そろばんは頭を鍛えるスポーツです。脳科学の分野でもその効果は実証されていますし、子供たちの健やかな成長の助けになっているという実感を持っています。だから信じて1級合格までがんばって欲しいのです。だから・・・
 
1級を取らせるなら全珠連
 恐らく全珠連の1級が最も簡単です。日商の1級とは難易度的に比べ物になりません。
 しかしながら、先ほど私見を述べたように、賞状は想いがなければただの紙きれです。
「私は最後までやりきったんだ!」と思えるのが1級。全員に目指して欲しい1級。どの検定だろうとも級位の頂点まで上り詰めてほしい。そしてこれは大きな成功体験です。
 断っておきますが、全珠連の1級は決して簡単ではありません。週2日制の教室で1級取れる子は優秀、ごく普通の子では難しい。でも週3日制ならけっこうイケる、そんなレベル。恐らく日商の1級を全員に取らせることは無理です。でも全珠連なら・・・と思わせてくれる難易度なだけ。
 ただ、純粋に比べてしまうと日商が難しいというだけの話なんです。
 だから全珠連の会員になった訳ではありませんよ。理由はそのうち・・・
終わりなき旅
 級位の頂点、1級に合格すると今度は段位検定試験への挑戦がはじまります。
 2級から1級合格までの道のりよりも、段位を1つ1つ上げていく期間は長くなる傾向にあり、特に高段位と呼ばれる五段以上にもなれば、段位を上げるのに1年かかるのは普通のことです。
 どこまで上り詰められるのか、というのもそろばんの魅力の1つですが、誰しもいつかはやめなくてはいけない時がきます。
 そんな時に、検定試験というのは分かりやすい指標になります。それが初段なのか三段なのかは分かりませんが、自分のできる限りを全力でぶつけて得られるのが賞状だったりするのです。
 そう、その100%の想いがそのまま賞状の価値に変わります。
 珠算学習者にとって検定試験はなくてはならない大事なものです。種類や内容よりも、目の前のものに集中することが最善だと思いますので、細かな事に気を配るよりも、上手に検定試験を利用して自分を高めていって欲しいと思います。